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おらが村は魔女ばかり(五)(六)(七)(八)

おらが村は魔女ばかり(五)

この時代、農村社会を恐怖に陥れていたのは、黒死病や宗教の退廃だけではない。

北ドイツには商工業都市が繁栄し、貨幣の力で封建社会を解体しようとしていた。

「都市の空気は自由にする」などと言われるように、農奴のような農民たちが都市に逃げ込んで一年と一日経つと、封建領主の追求権から逃れることができた。

しかし、逃げ込んだ農民にバラ色の未来が待っているという訳ではない。

商工業の世界で一から始めなければならず、最後は売春などで生計を立てる者も多かったという。

中世の都市とは金がものを言う社会であり、金は何にでも変身するので、あらゆるものの境界を喪失させ解体してしまう。

人間も例外ではない。

農村に貨幣を浸透させ、人口流出を起こしてしまう中世の都市もまた、地獄の入り口だったのかも知れない。

つづく

無秩序性の象徴だった魔女。
それは中世の終わりの時、時代の変わり目に出現した。
鳥頭の悪魔

地獄で人間を食う悪魔↑

おらが村は魔女ばかり(六)

カールの村でも、黒死病の蔓延がひどくなり、村人の四人に一人は死ぬという大惨事となった。

カール
「毎日毎日遺体の埋葬ばかりで、もう嫌んなってきたなや。」

オットー
「ああ、棺桶屋までが死んだらしい。
こうなったら、穴を掘って直接埋めるしかないな。
嫌だ嫌だ。」

カイヤー
「たまには気晴らしに、遊んでみたらどうだい ?
スペインの方じゃ、騎士ごっこが流行っていて、風車に突撃して遊んでいるとか。」

カール
「ほう、俺たちもひとつやってみるか。
行くぞサンチョ ! 」

オットー
「待ってましたキホーテ卿 ! 」

カールとオットーは、農器具で簡単なランス(槍)を作ると、水車に向かって突撃を行った。

カール
「やったぞ !
見事貫いたり。
これは……ニュータイプへの覚醒か ? 」

オットー
「何の覚醒だって ?
大人の遊びも、たまには楽しいけどな。
領主様に見つかったらどうすんだ。」

カイヤー
「見回りに来ないところを見ると、領主様も死んだんじゃないのかい。
私たち農民が力を合わせれば、領主なんてく○食らえさ。」

一時、憂さを晴らしたカールたちだった。
一方で、大量に埋められた遺体が、何者かに持ち去られるという不気味な事態が起こる。
「悪魔の餌食になった」という噂が広まり、新たに魔女と認定された七人に死刑が執行された。

つづく


おらが村は魔女ばかり(七)

カールとオットーは騎士ごっこに夢中になっており、十字架の鉄槌も完成させていた。
一方、消えた遺体の行方は村中の噂となっていたが、ある日カイヤーが「見せてやる」と言い始めた。

それらの遺体は、村はずれの洞窟に隠されており、画期的な発明の材料として役立っているという。

カールとオットーは、不審に思いながらも洞窟までついていった。

カール
「こんな洞窟、わが村にあっただか ? 」

オットー
「穴居人とかが掘ったのかも知れねえな。」

カイヤー
「そんなんじゃない。
炭鉱というものだよ。
石炭は鉄を精製するには必需品なんだ。
働いているのは、この村で死んだ者たちさね。」

カール
「そ、そんな、嘘だろう。」

カイヤー
「死んだ奴らを死んだままにして置くなんて、もったいない。
もっと凄いものを見せてやる。
ついて来い。」

しばらく行くと、人間の形をした大型の人形が安置してあった。

カール
「こ、これは新型機動兵器 !
なんという運動性能 ! 」

オットー
「まだ、動いちゃいないだろ。」

カイヤー
「それも、死んだ人の体を使って造ったものさ。
これさえあれば、皇帝の軍が来ても十分勝てる。」

その時、大きな雷鳴が起こり、急に風が洞窟内に吹き込んできた。
蝋燭の火がゆらゆらと揺れる。

カール
「うーむ。
すべての謎が解けたぞ。
おお、見える !
私にも霊や天使が見える ! 」

カールは、カイヤーの影が存在していないことに気がついた。

カール
「行くぞサンチョ !
農民アタックだ。」

つづく

おらが村は魔女ばかり(八)

農民アタックをしようと、突撃態勢に入ったカールたちだったが、魔女カイヤーは姿を隠してしまう。

さらに背後からは、遺体を集めて造った巨人ゴーレムが迫ってきた。

オットー
「やばいよやばいよ。
もう逃げよう。」

カイヤー
「なぜ、お前たちを呼んだかわかるか ?
ゴーレムは生きた人間の餌を必要とするんだ。」

カール
「ようしサンチョ、もう一度農民アタックだ。」

魔女は姿を隠していたが、集まっている霊や天使が居場所を指し示している。

オットー
「俺を踏み台にしやがったなあ ! 」

カール
「そういうフォーメーションなんだから、仕方ないだろう。」

兎にも角にも、カールは十字架の鉄槌をカイヤーに突き刺した。

巨人ゴーレムの方は、たちまちのうちに体が崩壊し、遺体がごろごろ状態となる。

魔女カイヤーの方は、暫くじぶじぶと煙を出して焦げていたのだが、顔は焼け残っており、何百年も前に死んだ人の顔のようだったという。

ただ、魔女カイヤーは相当に地位の高い魔女だったらしく、農民アタック程度では本体を滅ぼすには至らなかった。

また、どこかに転生することだろう。
その肉体には、獣のナンバーが刻まれているという。

つづく


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おらが村は魔女ばかり(三)(四)

おらが村は魔女ばかり(三)

当時のドイツは神聖ローマ帝国という名前ではあったが、イタリアの国ではない。
しかし、ローマカトリックとは近しい関係にあった。
ドイツ、イタリアともに、物凄い分封国家であり、近代に至り急激な統一をしなければならなくなるのである。
それはともかく、分裂状態のドイツというのは、ローマカトリックの格好の標的であり、免罪符(贖宥状)もたくさん売られていたという。
この免罪符を買うことで、人間が背負っている原罪が軽減され、天国に入れるのだとか。
しかし、金で神の許しが得られるというのも、どうもピンと来ない話である。

こうしたローマカトリックの動きに対して、「キリスト教を本来のキリスト教に戻そう」という活動を始めたのがルターである。

百年程前にも、ボヘミアのフスが同じ様な主張をしており、火刑の憂き目に遭っている。
フスの火刑処分にボヘミアの住民は怒り、大抵抗運動を行った。

ルターに関しても、同じ様な事態が予想されたが、ローマカトリックとの公開討論の後、ルターは身を隠すのである。

しかし、ローマカトリックへの批判はもはや押さえ難く、各国に広まった。
その結果、後には“ルター派への援軍”と称して、周辺国の軍隊が次々とドイツに攻め込んでくるのである。
ローマカトリックを奉ずるフランスまでが、“ルター派への援軍”を送ったところを見ると、宗教だけが問題ではなさそうだが……

ルターからすると、大戦争を起こすつもりなどなかったのだが、結局ドイツは荒れ果てた。
ローマカトリックの方からすると、「それ見たことか」ということになるだろう。
異端こそ悪魔の誘いであり、そういう異端によって戦争がおこるのだと。

つづく

おらが村は魔女ばかり(四)

北ドイツの某村にも、商人が物を売りに来るようになり、黒死病に罹患する者が出始める。

オットー
「おい、聞いただか ?
おら達の村でも、黒死病が出たど。」

カール
「マジかい ?
いよいよ魔女が活動を活発化させてきたのか……」

カイヤー
「そういゃねー、黒死病で死んだハインリヒさんを見かけたよ。
毎晩墓穴から出てきては、歩いてるらしいんだよ。」

カール
「リハビリとかじゃないのか ? 」

カイヤー
「何言ってんだい !
死んでるんだよ。
あれはきっと妖術だよ。
ハインリヒの妻のカミッラが怪しいね。」

オットー
「なんか性格も悪そうだもんな。
もの凄い勢いで怒鳴られたことがあったぞ。」


次の日、教会関係者がやって来て、カミッラを連行した。

カミッラは拷問に遭い、苦し紛れに妖術を使ったことを認める。

さらに、悪魔を崇拝する魔宴に、シャルロッテやクリスティネという村の女性が加わっていたことも自白したため、魔女は三人に増えてしまった。

これらはすべて事実無根のものであったが、拷問の苦しさから逃れるために自白したものである。

三人の魔女には、衆人環視の中で火刑が執行された。

つづく

 

おらが村は魔女ばかり(一)(二)

おらが村は魔女ばかり(一)

中世の終わりごろ、北ドイツの某村では牛の変死が相次いだ。

カール
「これで何頭めだがや ! 」

オットー
「魔女のせいかも知れねえど。
ラインハルトの所でも、どえりゃ~牛が死んだり、へたり牛になったのだがね。」

カール
「魔女 ?
何だそりゃ ? 」

カイヤー
「異端中の異端だよ。
魔女は悪魔と交わり、妖術を授かる。
それを使って悪いことをするんだ。
昔、黒死病が流行ったのも、魔女のせいだ。」

カール
「いったい、どこに相談すれば良いもんだか……」

オットー
「教会に相談するか、そうでなきゃ『魔女への鉄槌』を読んで自分で勉強するしかねえ。」

中世封建社会の精神的支柱であったキリスト教は、今や退廃の中にあり、
また北ドイツでは、商業都市が大いに発達し、中世的規範を解体しようとしていた。

つづく

おらが村は魔女ばかり(二)

数日後、教会関係者がやって来て調査を開始した。

カール
「ヨーゼフのカカのコンスタンツが、最近変な呪文を唱えるようになったとか。
このままでは、村中の牛が死んでしまう。」

教会関係者
「まず、そのご婦人を調べてみましょう。
水は神聖な物質なので、魔女を水に入れてみれば判別できます。
もし魔女であった場合、水が受け入れないので、魔女は水に浮いてしまいます。」

教会関係者たちは、ヨーゼフの家に急行した。

教会関係者
「調査のために参りました。
これは公権力の行使です。
不服が有れば、教皇庁に訴え出てください。」

ヨーゼフ
「カカが急に狂乱状態になるんで、正直言っておらも困ってたところだ。
悪いものが憑いてるんなら、追っ払ってやってくれ。」

教会関係者
「よろしい。
川へ行って沈めてみましょう。」

コンスタンツ
「あーっはっはっはっ!
現れたな、偽善者どもが !
そこまでして金儲けしたいのか ! 」

教会関係者
「さあ、みんなで縛って、川まで連れていきましょう。」

コンスタンツは、橋の上まで連れていかれると、深い川へ突き落とされた。

教会関係者
「おお !
沈んだぞ。
魔女ではなかったんだ。
良かった良かった。」

ヨーゼフ
「あのー、コンスタンツはどうなったんでしょう ? 」

教会関係者
「神の犠牲となって死んだ者は、必ず魂が救済されます。
ご安心ください。」

その帰り道……

カール
「ヨーゼフ夫人が魔女ではないとすると、一体、誰が魔女なんだべ ? 」

教会関係者
「魔女には、悪魔と交わった時にできた傷や爪痕があるとか。
一人の魔女がいるということは、少なくとも数名の魔女が存在している可能性があります。
彼女たちは、夜な夜な魔宴を開き、集団で神を侮辱しているのです。」

カール
「神は全知全能だったはず。
なぜ悪魔を退治できないんだべ ? 」

教会関係者
「悪魔はとっくの昔に退治され、地の底深くに閉じ込められています。
しかし、魔女や妖術師を通じて、地上に影響力を及ぼすのです。」

つづく

魔女
魔宴に赴く魔女
 

『日本刀のように長いナイフの夜』(13)(14)

『日本刀のように長いナイフの夜』(13)

スターリングラード戦以来、ナチスドイツは守勢に回っていたが、新兵器を投入して挽回を試みた。
大型戦車のティーガー(虎)やパンター(豹)戦車、ナスホルン(犀)対戦車砲などがその新兵器だが、ソビエト軍はクルスク周辺に大防御陣地を構築して待ち構える。

クルスク目指して、北からはクルーゲ元帥が、南からはマンシュタイン元帥が襲い掛かり、史上最大と言われる大戦車戦が始まった。

戦車同士の戦いでは、ドイツ軍は優勢で、撃ち勝ってはいたのだが、ソビエト軍の戦力は無尽蔵と言ってよく、結局ドイツ軍は後退する。

ソビエト軍が大軍を集結させることができたのも、ゾルゲのスパイ活動によるところが大きい。
ゾルゲはドイツ人だったため、日本の関係者も、ドイツ大使館の者も、友国の要人として待遇しており、「ゾルゲ、ゾルゲ~♪」などという歌まで作成していた程である。
ところが、実態はソビエトのスパイだったというのである。

ゾルゲが陸軍省に電話してみると、「当分の間、満州国からソビエトには攻め込みません。」という回答が返ってきたという。
この情報のおかげで、ソビエト軍は戦力をナチスドイツに向けることができた。

さらにゾルゲは勉強熱心だというので、陸軍の幹部が軍事教本を贈呈していたほどである。

クルスクの戦い以降は、あらゆる戦線でナチスドイツは後退を迫られた。

つづく

『日本刀のように長いナイフの夜』(14)

各地で敗れるようになったナチスドイツでは、総統暗殺計画が進行していた。

「たとえ死んでも撤退するな」という命令を、ヒドラーが連発するようになったのが主な原因である。

暗殺計画は、シュタウフェンベルク・ファンファン大佐(仮名)などが中心人物だとされているが、親衛隊やゲシュタポの中にも、暗殺を狙う者が増え始めた。

1944年6月、ノルマンディーに米英仏連合軍が上陸してくると、この傾向は一層強まる。

しかし、このヒドラーという人物は、何度爆破されてもなかなか死なないのであった。
皮肉なことに、孤立したヒドラーが信頼を寄せるのは、ゲッベルスこと異星人A、ゲーリングこと異星人B、親衛隊のシュタイナーこと異星人Dだった。

上陸してきた連合軍に対して、ゲーリングは垂直離陸機で出撃すると、高速で近づいて打撃を加え、敵が反撃する前に戦場から離脱した。
ジェット戦闘機を持っているドイツ空軍で、連合国に勝っている点は、速度と緊急発進できる点だけだった。
しかし、使用できる機体は100機に満たず、東からソビエト軍が迫り、西から連合軍が空襲を加えるようになると、空の守りは疎かになる。

ナチスドイツから亡命した科学者たちは、ベルリンに新型爆弾を落とすことを主張したが、既にベルリンに迫っていたソビエトは“ベルリンへの攻撃は自国への攻撃とみなす”と脅したため、新型爆弾はハンブルクとドレスデンに投下された。

物凄い閃光とともに、十万人以上の一般市民が殺害された。
第二次世界大戦の酷い点は、一般市民への無差別攻撃がなされたことである。
これは、無差別テロと同じだ。

数度の新型爆弾の使用で、異星人A、異星人B、異星人Dの母星では、地球にいる同胞の危機を察知した。
亜空間転送装置によって、異星人たちは遥か遠くの恒星系へと連れ去られた。
残されたのは、人口冬眠で眠らされていた本物のゲッベルスやゲーリング、シュタイナーたちである。

後のニュルンベルク裁判で、ゲーリングたちは「我々はそんな悪いことはしていない。記憶にない事だ。」と訴えたが、悪のレッテルを貼られた者たちの言うことなど、誰も聞く耳を持たなかった。

しかし、目を覚ましたゲッベルスの忠誠心は高く、事態が把握できないままベルリン市街戦に参加した。

ゲッベルス
「お前たちごときアニマルファームに、栄光ある第三帝国をやらせはせぬ。
やらせはせんぞ !! 」

ゲッベルスは機関銃を撃ちまくったが、奮戦むなしくソビエトの大軍が、ベルリンになだれ込む。
ヒドラーは失踪し、ベルリンは阿鼻叫喚の地獄となった。

ベルリンにとっては、まだ宵の口で、いつ明けるとも知れない長い夜はまだまだ続くのであった。

Ende

異星人たちの活動によって、変えられてしまった歴史。
今日もどこかで彼らは、ネルルしドリルしているのかも知れない。

 

『日本刀のように長いナイフの夜』(11)(12)


『日本刀のように長いナイフの夜』(11)

ゲーリングは、ドーバー海峡を越えて何度もイギリス空襲を行ったが、たいした戦果を上げることはできなかった。

西の戦いで行き詰ったヒドラーが決断したのは、独ソ開戦である。

なぜ不利と分かっている東西両面作戦を始めたのか ?

この辺りは、歴史の謎とされていることもあるが、ヒドラーが戦う目的は最初から共産主義の殲滅とナントカ人の殲滅にある。

これまで英仏と戦ってきたのは、偽りの戦争によって、ソビエトを油断させるためのものであったのかも知れない。

ソビエト連邦は完全に油断しており、一千機以上の赤軍戦闘機が飛び立つ前に破壊されてしまった。

ナチスドイツは、レニングラード、キエフ、ハリコフと次々に大都市を占領し、序盤は圧勝したように見えた。

しかし、冬が来ると補給が遅滞するようになり、スターリングラード攻防戦では両軍入り乱れての悲惨な戦いとなる。

ソビエト側の食料の補給は、ドイツ以上に深刻なものがあり、多くの住民の餓死者を出した。

ゲーリングは味方に食料などの物資を届けようと、空輸作戦を行ったが、悪天候のせいで非常に視界が悪かった。

さらに両軍入り乱れての戦闘中に、正確に味方の陣地に投下するというのも、難しいものがある。

結局、空輸作戦の目標量は全く達成できず、ドイツ軍も包囲されて餓死者が出るようになった。

最後は、総統の命令を無視してまでも、スターリングラードのドイツ兵は降伏してしまった。

つづく

明治維新で日本を軍事大国化させ、ロシアに噛み付かせようとしていたのは英国でしたが、見事に日本は噛み付いて勝ちました。
ひょっとすると、ナチスドイツも同じように英国に操られ、ソビエト連邦に襲い掛かったのかも知れません。



『日本刀のように長いナイフの夜』(12)

スターリングラード攻防戦で、ゲーリングこと異星人Bは威信を失い、一時帰国していた。

異星人A
「北アフリカでロンメルが大敗したらしい。
なんでも、物凄い新兵器を敵が使用したとか。」

異星人B
「どうせ農業用トラクターに、大砲を乗っけただけの戦車とかだろう。」

異星人A
「いや、物凄い光と熱を放つ大量殺戮兵器だとか。
情報部によれば、マントルに住んでいる異星人がいて、その異星人たちが、アインシュタイン(仮名)という者に知恵を付けているという。
アインシュタインに誘われたのか、ハイゼンベルク(仮名)も行方不明になった。」

異星人B
「俺たち以外にも、異星人がいる?!
しかも、マントルに !! 」

異星人A
「湯治をするには、ちょうど良い温度なのかも知れないな。
それと、シチリアに敵が上陸してきたぞ。
ちょい悪たちが、また怠けているんだ、きっと。」

異星人B
「敵さんは、なんで急に攻勢に出てきたんだろう ? 」

異星人A
「新大陸の奴らが参戦してきた。
日本の奴らが、はめられたんだ。」

異星人B
「なんで日本の奴らがはめられると、俺たちが攻撃を受ける訳 ? 」

異星人A
「それぐらい自分で考えろ。
新大陸の奴らは、総統の暗殺も企んでいるらしい。」

異星人B
「最近の総統は、かなり変だ。
“ぶるんぶるーん”しか言わなくなったもんな。
仕方ない、シチリアを爆撃してくるか。」

ゲーリングこと異星人Bの爆撃により、シチリアは跡形も無い程破壊されてしまった。
しかし、得意の公共事業によって、イタリアは島を修復したという。

つづく


ムッソリーニのファシズムって、実態は共産主義だったのではないかと思う。
もっとも、共産主義にしては国王もいるし、ローマ法王もいたりするのだが……
とにかく、ドイツのナチズムも日本の軍国主義も、ひとくくりにして「ファシズム」と呼ぶ゛のはどうかと思う。
イタリアやドイツで、そのような強力な政治指導者が出てきたのも、国内の統一が遅れ、力任せに統率する指導者が必要だったためと思われる。

 

『日本刀のように長いナイフの夜』(9)(10)

『日本刀のように長いナイフの夜』(9)

ゲッベルスこと異星人Aは、イタリアへ燃料を調達に行く。

しかし、細胞分裂によって出産後であるため、認知能力が低下してしまっていた。

ほとんど強奪同然に燃料を奪ってくるのである。

燃料を奪われたイタリア軍は、各地で敗れ続け、大惨事となった。

やむを得ず、ヒドラーは北アフリカのトリポリにロンメルと装甲師団を送る。

ロンメルは命令を無視して勝手な行動をすることが多かったが、勝ち続けた。

イタリアの援軍に行っているに過ぎないので、ヒドラーも放置した。

イタリアの兵士の殆どが、「五時から男」や「ちょいワルオヤジ」などで構成されており、少しでも味方が不利になると脱走する。

援軍に来ていたロンメルは、いつしかイタリア軍の指揮をするようになり、イギリス支配下のエジプトに攻め込む程の勢いとなった。

ゲーリングこと異星人Bは、ドーバー海峡を越えてロンドンを空爆に通ったが、燃料を食う割りには効果が薄かった。

ヨーロッパを制覇した段階で守りに徹し、別の展開をするべきだったのかも知れないが、ヒドラーにそれだけの余裕は無かった。

その後も、あちこちで戦線が拡大し、アジアでも日米が開戦した。

つづく

『日本刀のように長いナイフの夜』(10)

ナチ党が政権を取った後は、ヒドラーの側近はエリート将校が多くなった。
しかし、ナチ党の原点は大衆運動であり、エルンスト・レームなどは不満を持つようになる。
レームは突撃隊を率いる昔からの仲間だったのだが、保守化するヒドラーを公然と批判するようになった。

突撃隊は正規軍の五倍もの兵力を持っており、反乱が起きると一大事である。
ヒドラーは旧友レームに対して、「特別BL罪」という法律案を一本通して、葬った。

異星人A
「なにやら、突撃隊が粛清されたんだってな。」

異星人B
「まったく、地球人というのは何を考えてるものやら……」

異星人A
「いや、でもさ、粛清を行ったゲシュタポは、元々お前の管轄だろ。」

異星人B
「あんなものに捕まったら、総統でも生き残れないといわれている。
正義ほど凶悪なものは無いな。」

つづく

 

『日本刀のように長いナイフの夜』(7)(8)

『日本刀のように長いナイフの夜』(7)

政権を握ったヒドラーは、ラインラント非武装地帯に進駐したり、オーストリアを併合したり、チェコスロバキアからズデーテン地方を奪うなど、戦わずして領土を増やした。

これには英仏の首脳も、譲歩した。

譲歩することで、ベルサイユ体制が守られると思っていたのかも知れないし、ソビエト連邦と衝突すれば好都合と思っていたのかも知れない。

しかし、これで満足するようなヒドラーでは無かった。

独ソ不可侵条約を結ぶと、両国でポーランドを分割した。

ゲーリングこと異星人Bが始めて出陣したのは、このポーランド戦である。

ジェット戦闘機は一部しか導入できなかったが、それでもポーランドと戦うには過剰な兵器だった。

ポーランド軍の“列車兵器”や郵便局がいきなり砲撃してくる“郵便局要塞”には苦しめられたが。

英仏はポーランドと同盟を結んでいたため、ドイツに宣戦布告を行ったが、いっこうに軍隊が来る気配が無かった。

英仏にとっては、ナチスドイツとソビエト連邦が協力関係に入ったことがショックで、ポーランドは二の次であった。

つづく

この頃、日本では満州から南下して日中戦争に突入していました。
戦っていた相手は、国民党の蒋介石でしたが、もとはさほど敵対心の高い相手ではありませんでした。
蒋介石は、日本の高田へ軍事訓練を受けに来ていたくらいです。


『日本刀のように長いナイフの夜』(8)

ゲッベルスこと異星人Aは、政権獲得後は比較的暇(ひま)になり、映画製作などを行っていた。
「総統の怒りシリーズ」などが代表作だが、あまり笑えない。

そして異星人Aは細胞分裂を起こし、異星人Dを出産していた。

しかし、このような場合、異星人の社会では親子関係を設定しない。

長年の研究の結果、親子関係というものが身分や階級の原型であることが判明したためである。

一方、ゲーリングこと異星人Bは、フランス侵攻戦という重要な任務に就いていた。
第一次世界大戦のような塹壕戦をイメージしていたフランスでは、国境地帯を要塞化していたのだが、そこへやって来たのはドイツの囮部隊であり、本隊はベルギーに侵入した。
ゲーリングの航空部隊は速度で優位に立っており、空軍の反撃をあまり受けなかった。
地上の装甲部隊が到着してみると、すでに航空隊による破壊が進んでいて、戦車戦にはならなかった。

ベルギーを通過して、フランス本国に入っても、思っていた程の反撃は受けなかった。
この快進撃を見た日本は、ドイツ側に付くことを決めたという。

フランスの有力者たちは、早々と英国に渡り、フランス国民は放棄された。
なぜか、予想以上に早くフランス軍は撤退し、そしてドイツ軍もあまり追撃しなかった。

ゲーリングこと異星人Bの悩みは、戦の勝敗よりも、空軍が燃料を食い過ぎることであった。
苦肉の策として、ゲッベルスこと異星人Aがイタリアへ燃料を調達に行く。
イタリアはドイツ側に立って参戦しており、北アフリカに拠点を持っていたので、燃料は豊富に所有していた。

つづく
 

『日本刀のように長いナイフの夜』(5)(6)

『日本刀のように長いナイフの夜』(5)

ゲーリングこと異星人Bは、新型航空機の開発に着手していた。

党からの要請は、「直ちに離陸できること」だったが、UFOの技術無しには造れそうもない。

ゲッベルスこと異星人Aが訪れて、情報交換を行う。

異星人A
「ハイゼンベルク(仮名)が、糸を発見したそうじゃないか。
繊維産業でも始めるのか ? 」

異星人B
「遠くの星に糸が繋がっていれば、情報を伝えることができるだろ。
俺たちが転送される時には、向こう側に俺たちと同様の物体が構成される。
今はそれどころじゃなくて、垂直離陸機を造らねばならない。
フォンブラウン(仮名)という者に、ロケット噴射を研究させている。」

異星人A
「まさか、ロケット噴射で離陸するつもりじゃないだろうな。
重力遮断装置を使えば、一発で上がるだろうが。」

異星人B
「それが有れば、こんなに苦労はしない。
転送装置ができるのは、ずっと先の話かも知れないな。」

異星人A
「さっきの話だけど、転送先で俺たちが構成されるとするだろ。
そうなると、この星にいる俺たちの肉体はどうなるんだ ? 」

異星人B
「実に不思議なことだが、どちらかに収斂する。
これは何か、超越的な存在を示唆していると思わないか ?
神は、同一人物が異なる空間に存在することを許さないんだ。」


異星人たちの星は、高度な技術を持っていた。
しかし、何もかもが自動化された結果、生命体としてのリアリティーを失ってしまっていた。
彼らが遠くの恒星系へ旅するのも、いわばコンテンツを求めているのである。
彼らは、たどり着いた星で現地人と共に活動し、経験値を高めて帰っていく。

つづく

『日本刀のように長いナイフの夜』(6)

ゲッベルスこと異星人Aの活動の成果が出たのか、1932年の選挙ではナチ党は第一党となる。
翌年の選挙では、ヒドラー首相が実現した。
そんな頃に起こったのが、国会議事堂放火事件であった。

誰もが「共産党員の仕業」とされるのではないかと想像していたのだが、やはり現実はそうなった。
権力を握るやいなや、ヒドラーは弾圧を開始した。
共産党員たちは、必死になって「宇宙人がやった」と主張したが、誰にも相手にされなかった。
ナチ党も共産党も、同じく労働者の味方ということになっていたが、近親憎悪というものだろうか。

イタリアのムッソリーニも、元は左派の思想家であり、公共事業などを行って労働者を保護した。
経済においては、むしろ全体主義を行った方が、うまく行くのかも知れない。

しかし、ヒドラーにおいては、ムッソリーニによりもずっと凶悪な側面があり、それは優性思想や人種差別主義で顕著である。

それでも、ヒドラーが大衆から圧倒的な支持を受けたのは、人間の愚かさに付け入ることに長けていたためと思われる。

つづく
 

『日本刀のように長いナイフの夜』(3)(4)

『日本刀のように長いナイフの夜』(3)

異星人AとBは、当面活動する資金を得た。

しかし、亜空間高速通信は機能せず、母星から救援が来る見込みが立たないままである。

異星人A
「どうしよう。
このままでは帰れないぞ。」

異星人B
「こうなったら、この星の技術を進歩させて、転送装置を完成させる他あるまい。」

異星人たちはナチ党のゲッベルスとゲーリングに変身する。

幸いにも人口冬眠装置は生きており、本物のゲッベルスとゲーリングは冬眠状態とされてしまった。

ゲッベルスこと異星人Aは、新聞社や映画会社を次々と買収し、党勢拡大に努める。

当時のドイツは、大恐慌の影響から失業者が増えており、大衆の不満を煽(あお)ることで党は議席を増やした。

ゲッベルス
「諸君、なぜ我らはこんなにも貧しくなったのか ?
それは、何者かが我らの財産を盗んでいるからだ !
我が党に力を結集して、ドイツを取り戻そう ! 」

一方のゲーリングこと異星人Bは、ハイゼンベルク(仮名)に量子理論の情報を与えて、研究を開始させていた。

つづく

地震の四時間くらい前、窓ガラスがドンドンと音を立てていたけれど、あれは地震の前兆だったのだろうか。
ひょっとして、心霊 ?



『日本刀のように長いナイフの夜』(4)

ハイゼンベルク(仮名)は、遠くにある量子を媒介する糸を発見し、異星人Bの期待に答えた。

しかし、ナチ党の強引さに嫌気が差したのか、その後は意図的に研究をサボるようになる。

ゲーリングこと異星人Bは、暫くの間、航空隊を任されることとなった。

ゲッベルスこと異星人Aの方は、相変わらず大衆煽動を続けており、当面のライバルはドイツ共産党である。

「共産党が政権を取れば、財産は没収される。」
などと宣伝したため、地主や企業などはナチ党に協力するようになる。

もっとも、異星人の社会は平等であったため、異星人Aとしては共産党の方にシンパシーを感じていたのだが……

現実のソビエト政権は、とんでもない恐怖政治を行っていたので、その下部機関となるのは嫌だった。

ドイツ国民にとっては、どちらの道を取っても地獄への道だったに違いない。

地獄とは何だろう。

暴力や残忍が猛威を振るう世界である。

一体、それらの暴力や残忍は、どこからやって来るものなのか ?

つづく

日本では、この頃、満州国なんてものを建国して、万歳万歳していたのですが、すでに米国の手の上で転がされていたような気もします。

共産党や右翼政党が躍進するのは、今の日本も同じですが、どこへたどり着くものやら。

 

『日本刀のように長いナイフの夜』(1)(2)

『日本刀のように長いナイフの夜』(1)

1930年のベルリンでは、ベルサイユ体制打破を叫ぶナチ党が躍進していた。

そんな頃、ひょんなことから操作を誤り、ベルリンに落下してきた異星人たちがいる。

異星人A、異星人B、異星人Cとでも呼んでおこう。

残念ながら、異星人Cは落下の事故で死亡した。

異星人A
「おい、やばいよやばいよ。
Cの奴、生体反応が無い。」

異星人B
「唯一のメカニックCがいないんじゃ、帰るのは絶望的だな。
重力遮断装置は……だめか……
亜空間高速飛行……これもだめだな。
このままでは、地球人に捕まって見せ物にされるか、良くて生体実験というところだな。」

異星人A
「いや、待てよ。
地球人は動乱期に入っている。
うまく武器を売りつければ、高値で買ってくれるんじゃないか ? 」

異星人B
「ドイツにも、UFO研究家とか、韮澤さんみたいな人がいればの話だがな。
やつらは、良いカモなんだが……」

異星人A
「やって見せるさ、宇宙人ジョーンズだってコーヒーの売り上げで出世したんだ ! 」

つづく

『日本刀のように長いナイフの夜』(2)

異星人AとBは、当時野党の党首であったヒドラーに会っていた。

ヒドラーは野党の党首でありながら、既に突撃隊という実力組織を有しており、大衆扇動に長けている。


異星人A
「どうです、これがムカデ砲という物です。
通常の砲弾は、一度の爆発で加速しますが、これは何度も爆発を重ねることで、超高速となります。」

ヒドラー
「我輩は、史上最大の機械戦を構想している。
敵が同程度の戦車を出してきても、これが有れば無敵かも知れぬ。」

異星人B
「ところで、閣下は何のために戦うのです ? 」

ヒドラー
「現状打破だよ。
ワイマール共和国というのは、偽善にすぎぬ。
周辺国がよってたかってドイツを食い物にしている。
そして、他ならぬドイツ人自身が国を食い物にする。
後から生まれてくる世代の負担を考えていない。」

異星人A
「閣下が、それ程までに後輩想いとは意外でした。」

ヒドラー
「自分のことだけしか考えないという奴は嫌いだ。
一民族の興亡は、皆が団結できるかどうかにかかっている。」

異星人AとBは、金を受け取り立ち去った。

異星人A
「意外とチョロかったな。」

異星人B
「あんな大砲を繋げただけの物を買うとは。
地球人はアホなのかも知れん。」

つづく

 

続・『新鮮組 ! 』(十九)(最終回)

続・『新鮮組 ! 』(十九)

新政府軍は、五稜郭の背後にある函館山を占拠し、降伏を迫ってきた。
全員の助命を条件としていたので、榎本武揚も検討を始める。

榎本
「――という訳で、我らは進退ままならぬ状況となった。
強力な敵の兵器を奪取することを目指してきたが、ここは一旦降伏し、敵の組織を乗っ取ることに作戦を変更すると思えば良いのではないか。
自決する勇気が有るのであれば、死に物狂いになって敵の組織を乗っ取ることも、不可能ではあるまい。」

土方凝蔵
「今更降伏などと、遅過ぎる。
死んでいった者たちに合わせる顔がない。
俺たちは俺たちの道を行かせてもらう。」

榎本
「それも良いだろう。
再起の機会が訪れることを祈る。
だが、敵の包囲を突破するのは簡単ではないぞ。」

土方凝蔵
「夜陰に乗じて立ち去りましょう。」

土方ら新鮮組は、北へ逃げた。
樺太まで進んだ頃には、30名以下になってしまった。
その地で共同生活を始め、漁労などをして食いつなぐ。

いつかは新政府軍の追手が来るものと恐れていたが、意外なことが起こっていた。
やおいファンガスの変異である。
やおい族の体内でしか増殖しないと思われていたファンガスだったが、一般人の体内でも増殖するようになり、日本各地に腐界は広がっていった。
アジア各国を侵略していたエゲレス軍も、撤退を余儀なくされる。

つづく

続・『新鮮組 ! 』(最終回)

やおいファンガスの惨禍を逃れたのは、極地や高地だけで、温帯や熱帯は全滅した。
大ブリテン島に帰ったエゲレス人も、彼らの故地であるスカンジナビア半島まで撤退せざるを得なくなった。
スカンジナビアで彼らが描き残した洞窟壁画は、数百年後に発見される。
壁画には、上海やボンベイのような大都市が、一夜にしてゼリーとなった惨事が描かれていた。

五稜郭の戦いから二百年ほど後、新鮮組の末裔たちは沖田総司の墓を発掘した。
永倉新八の書き残した『新鮮組日記』が頼りである。

マイコバクテリウムオキタ株と名づけられた結核菌は、沖田の骨の中で生き残っていた。
唯一、やおいファンガスの増殖を抑え込むことができる株は、これだけである。

土方凝七
「人間の生死を分けているのは、一体何だろう。」

山本八十七子
「さあ、小さい生き物の気分次第かしら。」

末裔たちは、沖田総司を再び埋葬すると、先祖達の活躍に想いを巡らせた。

切り札を手にした新鮮組は、再び温帯へと進出していった。

おわり


宇宙世紀に至り、『新鮮組日記』は脚色され、新鮮組が吉良邸に討ち入ったり、近藤がうどん屋を経営するなど、変な時代物へと変形したらしいです。

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Author:umadahin
馬の首星雲から来た馬です。
ホラー小説を書いています。
ほとんどがホラですので、気をつけてください。

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